うつ病とは?
うつ病は日本人の約15人に1人が一生のうちにかかると言われており、女性は男性よりもうつ病になりやすいことが知られています。うつ病は誰でもかかりうる身近な病気で、治る病気です。しかし、こじらせると回復は長引き、社会生活や人間関係に大きな影響を与えることもあるため、病気の正しい理解と適切な治療がとても重要となります。

 

うつ病の特徴

1.「死にたい」という気持ちを抱きやすい病気
「死にたい」「消えてしまいたい」といった気持ちが、症状の1つとして現れることがあります。
うつ病と自殺には深い関連があることが報告されており、うつ病は命にかかわる病気と言えます。

 

2.再発しやすい病気
うつ病は再発しやすい病気です。再発率は60%と高く、再発を繰り返すほど再発率は高まります。
うつ病においては再発を予防するという視点が非常に重要となります。

 

3.対応に注意が必要な病気
うつ病の場合、「頑張れ」「元気出して」などの周囲の励ましが本人を追い詰めることがあります。
うつ病への正しい対応を周囲が理解していくことは、本人の回復を促すことにつながります。

 

うつ病の症状

うつ病の症状は「気分の落ち込み」だけではありません。うつ病になると感情・気分の症状とともに、ものごとの捉え方や考え方が否定的になったり、「眠れない」「食欲がない」といった身体症状が出てきます。これらの症状が2週間以上続いたら、専門家に相談することが大切です。

【感情・気分の症状】

 

落ち込み、悲しみ  

喜びの低下

空虚感          

焦り、不安

イライラ

        ・・・など

【考え方の症状】

 

『自分は価値のない人間だ』

『自分は母親失格だ』

『将来は絶望的だ』

『この辛さは一生続くだろう』

『自分と付き合う人は誰もいない』

               ・・・など

【身体症状】

 

眠れない or 眠りすぎる

食欲の減退 or 増加

疲れやすい

動機、息苦しさ

頭痛、肩こり

        ・・・など

 

女性特有のうつ病


女性は男性よりも2倍程度、うつ病になりやすいと言われています。女性のライフサイクル全体を通じて、各ライフステージにおけるホルモンの変動や心理的・社会的ストレスがうつ病の発症に大きく関与していると考えられています。

 

【月経前不快気分障害(PMDD)】
月経の数日前から情緒不安定やイライラ、腹痛といった心身の不調が現れ、月経が始まると徐々に症状が和らぐものを月経前症候群(PMS)と言います。そのうち特に精神症状が重く、生活への支障が1年以上続く場合を月経前不快気分障害と呼びます。

 

【妊娠・出産に伴ううつ病】
妊娠・出産時はホルモンの急激な変化をはじめ、生活の変化、育児に対する不安など多くのストレスが重なる時期です。女性にとって心身への負担は大きく、うつ病を引き起こしやすい時期と言われています。

 

妊娠中のうつ病は妊娠初期に多く、およそ8人~12人に1人が経験することが報告されています。産後はおよそ10~20人に1人の女性がうつ病を経験するとされ、多くは出産後3ヵ月以内に発症することが知られています。この時期のうつ病では「私は良い母親になれない」「赤ちゃんが泣き止まないのは私のせいだ」と母親としての能力に自信が持てなかったり、過剰な責任を感じたりします。また、赤ちゃんに対して関心が持てず、そんな自分に強い罪悪感を抱いてしまうこともあります。

 

マタニティーブルーと呼ばれる抑うつや涙もろさ、イライラなどは1~2週間で自然とおさまるものですが、症状が2週間以上続いたり、自殺念慮などのより深刻な症状が見られる場合はうつ病の可能性が疑われます。

 

【更年期のうつ病】
更年期と呼ばれる40代後半~50代前半はうつ病にかかりやすい時期と言われます。女性ホルモンの減少による心身の不調に加え、子どもの独立、親の介護、老化に対する不安などのストレスが重なりやすく、これらの要因が組み合わさることでうつ病のリスクが高まると考えられています。
抑うつ状態は更年期障害の一部としても出現するため、更年期のうつ病との区別が必要となります。

 

意外と知られていない事実

「うつ病」と聞くと、ずっと気持ちが落ち込んでいるイメージが強いですが、女性のうつ病(特に非定型うつ病)はそれだけではありません。ここでは、意外と知られていない特徴をご紹介します。

 

  • 一時的に気分が上がることがある
  • 楽しい出来事があると一時的に気分が上がることがあります。これは、外部の状況や出来事が気分に大きく影響を与えるためです。

  • 身体の不調が出やすい
  • 自律神経の乱れやホルモンの変動により、「頭痛」「慢性的な疲れ」「胃腸の不調」など身体的な不調が前面に出ることがあります。

  • 「過眠」や「過食」の症状が出ることもある
  • ホルモンの変動が眠気や食欲に影響を与えることがあります。また、女性の中には、ストレス解消として睡眠や食事を過剰に摂取する傾向があり、これも過眠や過食につながる要因の1つとなる場合があります。

  • 家族にうつ病の人がいる場合、特に影響を受けやすい
  • うつ病は遺伝的要因が関与すると考えられています。加えて、共感力が高い女性は家族の影響を受けやすく、精神的に不安定になりやすいです。

 

当ルームのカウンセリング

当ルームでは、落ち込みやすい方やうつ病・うつ状態の方を含む幅広い方々に対し、現状の改善と再発予防を目的としたカウンセリングを行っております。
女性の抑うつには、ホルモンの変動(生理的要因)やストレス(心理社会的要因)など、さまざまな要因が関係しています。当ルームでは、こうした女性特有の心と体の変化を踏まえ、一人ひとりに寄り添ったサポートを大切にしています。

 

 

参照元
▪厚生労働省「うつ病対策推進マニュアル」:うつ病を知る
▪日本女性心身医学会「女性の病気について」:妊娠・出産・子育て中のうつ病
▪Silverstein, B. (2002). Gender differences in the prevalence of somatic versus affective symptoms of depression. American Journal of Psychiatry, 159(9), 1656-1662.
▪Weissman, M. M., et al. (2006). Offspring of depressed parents: 20 years later. American Journal of Psychiatry, 163(6), 1001–1008.