ゲームの使い過ぎ問題

 

ネット・ゲームにはまり過ぎる子どもたち

『時間のルールを作っても守らない』『子どもが高額な課金をしていた』『ゲームばかりでそれ以外の遊びをしない』など、子どものネット・ゲームの過剰利用により、親がその管理に悩むケースが増えています。
子どもがネットやゲームと上手に付き合っていく上で、「約束」はとても大事なものです。しかし、最近の動画やゲームには、子どもたちが夢中になりやすい仕掛けが随所に組み込まれており、ネットやゲームについての約束を守ることは決して簡単ではありません。特に、中学生までの年齢が低い子どもは理性の働きが弱く、自己管理が難しいため、この領域の約束を自分の力だけで守ることは難しいと言えます。そのため、年齢が低いうちは大人がしっかりサポートしながらネットやゲームの約束を丁寧に積み重ねていくことが大切になります。
年齢が上がるにつれて親のサポートやコントロールが難しくなるため、早い段階からの取り組みが望まれます。

 

 

約束を守らせるための工夫

⑴ 約束は子どもと一緒に作る
親が一方的に決めたルールは、子どもにとってハードルが高すぎたり、その必要性が分かりにくく、守るのが難しくなりがちです。約束を守らせるための一歩は、約束作りに子どもを参加させること。本人の意見に沿ったルールを作ることで、責任感や納得感が生まれてルールを守ろうとする意識が自然と高まります。制限する理由についてもしっかり話し合い、ルールの大切さを理解してもらいましょう。

 

⑵ 約束は可視化して、大人も守る
約束は紙に書いて見えるところに貼り、いつでも確認できるようにします。
約束を作っても、大人は好きなだけゲームやスマホを利用しているという状態では子どもの約束を守る意欲は低下します。大人が見本となり、約束を守る姿を見せることが大切です。また、大人が普段から子どもとの約束を守るよう心がけることで、子どもはその価値を学び、約束を守る習慣を身に付けることができます。

 

⑶ デジタル機器は貸出制に
スマホやゲーム機などの所有権は大人が持ち、子どもが使いたい時に貸し出すという形にするほうが大人が管理しやすくなります。子どもも「借りている」という意識から、ルールを守ろうとする気持ちが自然と働きます。

 

⑷ ぺレンタルコントロールを活用する
忙しい大人にとって、約束を守らせるために役立つツールがペアレンタルコントロールです。この機能を活用することで、使用時間の管理や不適切なコンテンツの制限、アプリや課金の管理などが可能になり、子どものデジタル機器の使い方を効率よく見守ることができます。最近のスマホやゲーム機などには、これらの基本的な機能が初めから組み込まれていることが多く、無料で使えるようになっています。

 

⑸ 「おしまいにする力」を身に付ける
約束が守れるようになるためには、「おしまいにする力」を育てることがとても大切になります。以下の方法の中で、1つでも実践できそうなものがあれば、ぜひ試してみてください。

  • 見通しを持たせる
  • 『毎回夕食前にゲームを終了する』といったように、終了時間や方法をルーティン化することで、子どもは終わりのタイミングを予測することができ、「おしまい」を受け入れやすくなります。終了時間の少し前にタイマーを使ったり声かけしたりして予告することも、心の準備ができて効果的です。

  • 「おしまい」後の活動を用意する
  • ネット・ゲームの後に次の活動を用意することも前向きに「おしまい」ができるようになるコツです。『おしまいにして宿題しよう』よりも『おしまいにしておやつ食べよう』のように、ネット・ゲームと次の活動の落差を大きくせず、なるべく本人が楽しめる活動を用意することがポイントです。

  • 次の使用機会を保障する
  • 「おしまい」にする際は、子どもは『楽しい時間が終わってしまう』という寂しさや、『次はいつ使えるんだろう』といった不安を感じることがあります。そのため、次の機会を具体的に伝えることが効果的です。『次の日曜日に続きをやろうね』と伝えることで、「おしまい」への抵抗が少なくなり、安心して終わることができます。

  • 「おしまい」ができたら褒める
  • 「おしまい」の時間に子どもの気持ちが乱れるのは自然なことです。怒ったり泣いたりすることがあっても、その気持ちを理解しながら、落ち着けるように手伝ってあげましょう。そして、どんな反応があっても最終的に終わることができたら、『上手におしまいができたね』『おしまい頑張ったね』と褒めてあげることが大切です。これにより、終わりの時間がポジティブな印象として残り、次第に上手に「おしまい」ができるようになります。

 

 

ゲーム依存とは

世界保健機関(WHO)は、2019年5月にゲーム依存を治療が必要な病気とし、これを「ゲーム障害」と正式に位置づけました。ゲーム依存(ゲーム障害)は、単に毎日ゲームを楽しむこととは異なり、ゲームを最優先にしてコントロールが効かず、日常生活に支障を来たす状態を指します。
「やり過ぎ」と「依存」の境目はわかりにくいことが多いですが、以下の2つがセットで起こっている場合はゲーム依存が疑われます。

  • ゲームの過剰使用がある
  • そのために生活や健康に明らかな問題が生じている(遅刻、不登校、昼夜逆転、睡眠障害など)

 

 

当ルームのカウンセリング

当ルームでは、ネット・ゲームに関するお困りごとを抱えたご本人やご家族に対し、依存の予防や進行を防ぐことを中心としたカウンセリングを行っております。『子どもがゲームをやり過ぎて不安だ』『約束が守れず親子の衝突が増えてしまった』『うちの子はスマホ依存なのでは?』など、このようなお悩みをお持ちの方はお気軽にご相談ください。
問題が深刻化するほど解決も難しくなるため、問題が大きくなる前に早めに対処することが非常に重要です。相談者さま1人ひとりの状況を丁寧にお聴きし、ネット・ゲームと健全な付き合いができるようサポートさせていただきます。

 

参照元
・樋口進『ネット依存・ゲーム依存がよくわかる本』講談社
・樋口進『ゲーム・スマホ依存から子どもを守る本』法件
・吉川徹『ゲーム・ネットの世界から離れられない子どもたち』合同出版